社団法人鹿児島県臨床工学技士会

Home > 業務内容 > 人工心肺業務(補助循環)

人工心肺業務(補助循環)について

補助循環(Assisted circulation)

心不全の治療は、強心剤や、利尿剤、交感神経刺激剤等の薬剤による治療が、原則であるが、これらの薬剤にても改善できない重篤な心不全の治療として、機械的に心臓の補助を行い、心臓の回復を促す装置としてI・A・B・Pや、P・C・P・Sがあります。

I・A・B・P (Intra Aortic Balloon Pumping)大動脈内バルーンパンピング法と呼ばれています。
P・C・P・S (Percutaneous cardiopulmonary support)経皮的心肺補助法と呼ばれています。

IABPの歴史

1962年に、Moulopoulosによって考案され、この実験結果を1969年にKantrowitzが27名の心原性ショックの患者に臨床に使用し、改善が見られたのがはじまりです。 IABP
図1
動作原理
図1の通り、大動脈起始部にて、心拍に合わせ、バルーンが収縮を繰り返します。Systole (収縮期)の時にバルーンを閉じ、Diastole (拡張期)にバルーンを開く、バルーンの容積は、30〜40mlです。
拡張期時
大動脈弁が閉じ、バルーンが開いた状態なので、大動脈起始部内の拡張期圧が上がり、冠動脈や、腕頭動脈・左総頚動脈・左鎖骨下動脈へ流れて行きます。冠動脈の血流量が多くなり、より心筋への酸素化が良くなり、この拡張期圧が上がり周辺血行改善をカウンターパルセーション効果と呼びます。または、Diastolic augmentationとも言います。
収縮期時
大動脈弁が開き、バルーンが同時に収縮するので、バルーンの容積分(約30〜40ml)の左心室の血液を、左心室の収縮力が弱くても、バルーンの閉じる陰圧により、容易に引き出す事ができ、そのため収縮期圧は低下し左室駆出抵抗が減少する。これを、Systolic unloadingと呼びます。このように、左心室の負荷を軽減させ心筋酸素消費量を減少させ心筋の回復を行う事が、IABPの最大の効果です。
IABP IABP
図2 心臓カテーテル室のIABP装置 図3 集中治療室のIABP

P・C・P・Sとは

遠心ポンプと膜型人工肺を用いた閉鎖回路の人工心肺装置でカニューレ装着部は、送血部が大腿動脈、脱血部が下大静脈で一般的に行われます。

PCPS一連の流れ
PCPSの流れは、図9.の様に下大静脈に挿入された脱血チューブの先端が右心房より血液(静脈血)が脱血され、遠心ポンプの回転とともに、膜型人工肺にて酸素化され(動脈血)となり二酸化炭素が排出され熱交換器で温度調節され、大腿動脈から送血チューブを介して送血されます。
PCPS PCPS PCPS
図4 図5 PCPS本体 図6 コントローラー部

PCPSの適応

  • 心停止状態や、心原性ショックに対する緊急心肺蘇生
  • 薬物療法や、IABPによっても厳しい重症心不全
  • 重症冠動脈疾患のPTCA治療後の補助
  • 心臓手術にて、人工心肺離脱困難症
  • 胸部大動脈置換術等の手術の補助
  • 重症呼吸不全の呼吸補助

今回紹介した回路構成等は、通常の回路構成ですが、手術によっては特殊な回路構成となる場合もあります。体外循環(人工心肺業務)に関しては、施設等によっても多少異なる場合もあるので、他のホームページも参考にして下さい。また、詳しく知りたい方は(人工心肺の操作や、手技)、専門書等をご覧になって下さい。